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ご相談

自社のサイトには、どの法律とガイドラインが関係するか

障害者差別解消法、基本方針、総務省のガイドライン、JIS X 8341-3を並べ、誰に向けたものか、何を求めているか、満たさないとどうなるかを整理する

  • 行政機関等

    • 合理的配慮の提供 義務

      第7条第2項。以前から義務

    • 環境の整備 努力義務

      第5条

  • 事業者

    • 合理的配慮の提供 義務

      第8条第2項。2024年4月1日から義務

    • 環境の整備 努力義務

      第5条

要点:関係する法律は障害者差別解消法で、申し出があったときの合理的配慮は義務、事前の環境の整備は努力義務である。法律はWebの技術的な規格を指定しておらず、JIS X 8341-3は任意の規格で、個別のサイトへの当てはめは弁護士が判断する

01

使う場面

従業員40人のチケット会社が、自社サイトでイベントのチケットを一般の人に販売しています。一般の人が訪れる施設は持たず、市から委託を受けて予約ページも運営しています。

代表者がWebチームに、サイトにはどの法律やガイドラインが関係し、実際に何を求められるのかを尋ねました。検索すると、「義務化された」と書く記事もあれば、「努力義務のまま」と書く記事もあります。

02

読むべき条文を絞り込む3つの問い

次の3つの問いでわかるのは、読むべき条文です。それがサイトにどう当てはまるかは、事実関係をもとに弁護士が判断します。

  1. 1 行政機関等か、事業者か

    • 行政機関等 第7条
    • 事業者 第8条
    • どちらも 第5条
  2. 2 事業者にあたるか

    • 商業その他の事業を行う者 第2条第7号
    • 非営利の法人、個人事業者 基本方針:含む
    • 対面かオンラインか 基本方針:問わない
  3. 3 申し出への対応か、事前の備えか

    • 申し出への対応 合理的配慮の提供(第7条第2項、第8条第2項)
    • 事前の備え 環境の整備(第5条)

法律に場所の定めはなく、日本に拠点のない事業者について書かれた箇所も見つかりませんでした。これは弁護士に確認する点です。

03

申し出への義務と、事前の努力

この法律の説明は、根拠の資料とともに「2024年4月の法改正で、Webサイトについて何が変わったのか」にまとめています。ここで押さえるのは、改正後の障害者差別解消法の義務が次の2つに分かれることです。

  • 合理的配慮の提供は、2024年4月1日から事業者にも義務になりました(第8条第2項)。行政機関等は以前から義務です(第7条第2項)。
  • 環境の整備は、どちらにとっても引き続き努力義務です(第5条)。政府の基本方針は、情報アクセシビリティの向上をこの中に位置づけています。

基本方針が挙げる例の一つが、Webサイトです。

  1. オンライン申込みのWebサイトが使いづらく、利用者が手続きの支援を求める

  2. 合理的配慮の提供 義務

    求めに応じて、電話やメールで対応する

  3. 環境の整備 努力義務

    以後の利用者が不便を感じないよう、Webサイトを改良する

合理的配慮は申し出から始まるので、まず連絡がとれなければなりません。連絡の手段が閉ざされている例は「電話でしか連絡できないサポート」で説明しています。

04

法律、方針、ガイドライン、規格の違い

名前が並ぶと同じ重さに見えますが、誰に向けたもので、どこまで求めているかはそれぞれ違います。

  • 法律

    障害者差別解消法

    合理的配慮の提供と環境の整備。JIS X 8341-3にもWebサイトにも触れていない

  • 閣議決定

    基本方針

    事業者の範囲、情報アクセシビリティの位置づけ、Webサイトの例。法律の条文ではない

  • 総務省の手順書

    みんなの公共サイト運用ガイドライン

    公的機関に、レベルAAと毎年の試験結果の公開を求めている。事業者の義務を定めたものではない

  • 任意の国家規格

    JIS X 8341-3:2016

    Webコンテンツの規格で、ISO/IEC 40500:2012(WCAG 2.0)と同じ内容

満たさない場合について、法律は次のように定めています。特に必要があると認めるとき、主務大臣は事業者に報告を求め、助言、指導、勧告ができます(第12条)。報告をしない、または虚偽の報告をすると、20万円以下の過料です(第26条)。適合表明に何が必要かは「ページがWCAGに適合するための条件」で説明しています。

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実例

チケット会社の活動ごとに整理します。

活動 読むもの 関係する箇所
一般の人にチケットを販売 障害者差別解消法の第5条と第8条第2項 オンラインを含む事業者。申し出への対応は義務で、サイトの改善は努力義務
市の予約ページを運営 総務省のガイドラインと、市との契約 ガイドラインは公的機関向けの手順書。市から何を求められているかは契約で確認する
サイトを測る規格を選ぶ JIS X 8341-3:2016 任意の国家規格で、法律には出てこない

結果として、読むものは3つになります。法律が会社に義務として求めているのは申し出への対応で、JISへの準拠ではありません。チームは「義務化されたのか」と尋ねるのではなく、申し出を受ける窓口はあるか、申し出にどう応じるか、サイトをどこまで改善するかを整理し、個別の判断は弁護士に相談します。

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よくある間違い

  • 「2024年に日本でWebアクセシビリティが義務化された」と言う。 事業者に義務化されたのは、申し出への対応です。違いは「2024年4月の法改正で、Webサイトについて何が変わったのか」で説明しています。
  • JIS X 8341-3に準拠しないと法律違反だと考える。 法律の本文はJISに触れていません。JISは任意の国家規格で、サイトの状態を測り、示すためのものです。
  • 総務省のガイドラインを、事業者の義務だと考える。 公的機関向けの手順書です。公的機関から受けた仕事で何を求められるかは、その契約で確認します。
  • 営利企業だけの話だと考える。 基本方針は、非営利の法人や個人事業者も含むと説明しています。
  • 申し出を受ける窓口を用意しない。 合理的配慮は申し出から始まります。何が使えて何が使えないかと連絡先の示し方は「掲載されていない、または中身のないアクセシビリティ方針」で説明しています。
  • ウィジェットで法律の求めを満たせると考える。 ツールバーを入れてもサイトのコードは変わらず、無料ウィジェットの提供元自身もそう説明しています。「無料のアクセシビリティウィジェットでできること、できないこと」で引用しています。

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規格の定め

要件(法令):

  • 障害者差別解消法 第8条第2項:「事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、(中略)社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」
  • 第5条: 行政機関等と事業者は、「必要な環境の整備に努めなければならない」。

助言と手引き(法令ではないもの):

  • 基本方針 第2の3(3): 使いづらいサイトについて、申し出に応じて電話やメールで対応する(合理的配慮の提供)とともに、以後のためにサイトを改良する(環境の整備)。閣議決定であり、法律の条文ではない。
  • みんなの公共サイト運用ガイドライン: 公的機関に、JIS X 8341-3のレベルAAと、試験結果の毎年の公開を求めている。公的機関向けの手順書であり、法律の条文ではない。

08

制限

この記事が説明するのは、法律とガイドラインに何が書かれているかです。個別のサイトにどう当てはまるかは述べず、何かをする、しないという助言でもありません。その判断には、事実関係と弁護士が必要です。ある対応が過重な負担にあたるか、日本に拠点のない事業者に法律が及ぶか、委託契約で何を求められているかも扱っていません。

扱うのは日本の法律とガイドラインだけで、海外の法律や業種別の規則は対象外です。内容は2026年11月6日に確認したもので、変わることがあります。法律はe-Gov、基本方針は内閣府、ガイドラインは総務省の各ページで確認してください。

09

用語

合理的配慮
障害者差別解消法で、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいと申し出があったとき、負担が過重でない範囲で行う、必要かつ合理的な対応。
環境の整備
障害者差別解消法で、合理的配慮を的確に行うために、情報アクセシビリティの向上を含めて事前に整えておくこと。努力義務である。
事業者
障害者差別解消法で、商業その他の事業を行う者(第2条第7号)。基本方針は、非営利の法人や個人事業者も含み、対面かオンラインかを問わないと説明している。

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出典とガイド

関連するガイド

この記事は実務の進め方を、再現した例で説明するものです。法的な助言ではなく、特定の顧客についての指摘でもありません。