CMSやエディターが、書く人のために備えること
ATAG 2.0、EN 301 549の11.8、Section 508の504は、オーサリングツールに、障害のある作成者が使えることと、どの作成者もアクセシブルなコンテンツを公開できるよう助けることを求める
要点:ATAG 2.0がWebコンテンツを作るツールに求めるのは2つで、パートAは障害のある作成者がそのツールを使えること、パートBはどの作成者もWCAG 2.0を満たすコンテンツを作れるよう、入力を促し、チェックし、修正を提案し、アクセシビリティの情報を保つことである。ツールは代替テキストを尋ね、ファイル名を拒むことはできるが、その画像が何を見せるためにあるかを知っているのは作成者だけである
01
使う場面
あるマーケットプレイスでは、出品者が商品ページを公開します。出品画面には、写真のアップロード、太字・見出し・リストのボタンが付いた説明欄、説明文を書き換える「AIで改善」ボタンがあり、アップロードした写真の代替テキストには、アドオンがAIの説明文を書き込みます。買い手が見るページはWCAGの試験を受けて、合格しています。
そこへ大口の取引先が、自社の社員にも同じ出品画面で公開させたいと言ってきました。契約には、出品画面がEN 301 549の11.8を満たし、ATAG 2.0に従うことと書かれています。WCAGに合格しているサイトに、ほかに何が求められるのか。プロダクトオーナーはそれを知りたがっています。
02
オーサリングツールにあたるソフトウェア
ATAG 2.0は、オーサリングツールを、作成者が「一人で、または共同で」使い、「ほかの人が使うWebコンテンツ」を作ったり変更したりするためのアプリケーションと定義しています。Section 508の定義も「Web」の語がないだけで同じです。EN 301 549(3.1)はもっと短く、「コンテンツを作成または変更するために使えるソフトウェア」としています。ATAGとSection 508で決め手になるのは最後の部分、つまりほかの人が読むコンテンツかどうかです。
- ATAGの例に挙がるオーサリングツール: WYSIWYGエディターとソースコードエディター、「HTMLとして保存」の機能、CMS、ブログ・Wiki・掲示板、HTMLメールを送るメールソフト、マルチメディアの制作ツール、テンプレートやウィザードからページを作るソフトウェア。
- 定義からオーサリングツールにあたるもの: マーケットプレイスの出品フォーム、プロフィールの自己紹介欄、レビューの投稿欄。どれも、ある人が書いたものをほかの人が読むために公開します。
- ATAGの例でオーサリングツールにあたらないもの: ECの注文フォーム(目的は商品の注文で、ほかの人に伝えることではないため)、本人しか見ないポータル、修正の機能がない単体のアクセシビリティチェッカー。
オーサリングツールでなくても、ツールの画面にはWCAGが適用されます。ATAGが加えるのは、ツールが作成者の作るコンテンツに対して何をするか、という問いです。
03
パートA:障害のある作成者がツールを使える
パートAが扱うのは、メニュー、ツールバー、ダイアログ、設定、説明書、そして編集画面そのものといった、ツール自身の画面です。
| 原則 | 求めること(達成基準の一部) | 例 |
|---|---|---|
| A.1 アクセシビリティのガイドラインに従う | A.1.1.1:Webベースの画面はWCAG 2.0の達成基準を満たす。A.1.2:Web以外の画面はプラットフォームのガイドラインに従い、プラットフォームのアクセシビリティサービスに情報を渡す | 名前のない説明欄:「見えているラベルで読み上げられないリッチテキストエディター」 |
| A.2 編集画面が知覚可能 | A.2.1.1:編集中も、コンテンツ内の代替テキストをプログラムで取得できる。A.2.2.1:スペルミスなどの状態表示も同じ | — |
| A.3 編集画面が操作可能 | A.3.1.1とA.3.1.2:すべての機能をキーボードで操作でき、閉じ込められない。A.3.2.1:セッションの制限時間がないか、その前に自動保存される。A.3.5.1:コンテンツのテキスト検索(AA) | ドロップしか受け付けない写真欄:「ファイルを選ぶボタンがないドラッグ&ドロップのアップロード欄」 |
| A.4 編集画面が理解可能 | A.4.1.1:編集の操作はすべて取り消せるか、実行前に確認を求める。A.4.2.1:アクセシビリティ機能を説明書に記載する | 作成者の文章を上書きする書き換え:「確認も取り消しもできずに文章を書き換えるAIリライトボタン」 |
パートAの注記は、対象の範囲を2つの点で区切っています。編集中のコンテンツにある問題、たとえば代替テキストのない画像は、ツールの画面の欠陥とはみなしません。また、パートAが対象にするのは開発者が提供するツールだけで、ほかの人が加えたプラグインや変えた設定は含みません。
A.1.1.1はWCAG 2.0なので、あとから加わった達成基準には及びません。リッチテキストエディターのガイドでは、4.1.2と1.3.1に加えて2.5.3(ラベルを含む名前)も満たしていません。2.5.3はWCAG 2.1で加わったためA.1.1.1の外ですが、Webベースのツールの画面はEN 301 549ではWebページなので、9章で求められます。
04
パートB:どの作成者もアクセシブルなコンテンツを作れる
パートBが扱うのはコンテンツで、作成者が誰であっても同じです。
| ガイドライン | 求めること | 例 |
|---|---|---|
| B.1.1 ツールが自動で作るコンテンツがアクセシブル | B.1.1.1:セッションの後に作るもの(サイト全体のテンプレートなど)をアクセシブルにできる。B.1.1.2:セッション中に作るものはアクセシブルであるか、作成者に入力を求めるか、チェックを実行または提案する | — |
| B.1.2 アクセシビリティの情報を保つ | 変換(B.1.2.1)、ツール内のコピーと貼り付け(B.1.2.2)、最適化(B.1.2.3)、代替テキスト(B.1.2.4)で失わない | 字幕を落とす動画のエンコーダー:「スタイルを変えられない字幕、変換で消える字幕」 |
| B.2.1とB.2.2 アクセシブルなコンテンツを作れ、そこへ導く | B.2.2.1:アクセシブルな選択肢を、ほかの選択肢と同じくらい目立たせる。B.2.2.2:属性を設定できるなら、アクセシビリティの属性も設定できる | 太字と同じくらい押しやすい見出しボタン。ページの側からは「ページの構成と食い違う見出し」 |
| B.2.3 代替コンテンツ | B.2.3.1:作成者が代替テキストを編集できる。B.2.3.2:ツールが自分で代替テキストを入れるときの決まり | 「代替テキストを尋ねない画像のアップロード」「写真の要点を外したり読み違えたりするAI生成の代替テキスト」 |
| B.2.4とB.2.5 テンプレートと既製のコンテンツ | B.2.4.1:用途に応じたアクセシブルなテンプレートがある。B.2.4.2:選ぶ画面で、どれがアクセシブルかわかる(AA) | — |
| B.3.1とB.3.2 チェックと修正 | B.3.1.1:作成者がWCAGの達成基準に反するものを作れるなら、ツールがその基準をチェックする。B.3.2.1:チェックで不適合が見つかったら、修正を提案する | — |
| B.4.1とB.4.2 機能が有効で、説明されている | B.4.1.1:アクセシブルなコンテンツを支える機能が、初期状態で有効。B.4.2.1:説明書の例がアクセシブル | — |
05
ツールだけでできること、作成者が要ること
ATAGの用語集は、修正を3種類に分けています。ツールが手順を示して作成者が直す手動の修正、仕上げるのに「作成者の入力や判断が要る」半自動の修正、作成者の入力なしに直す自動の修正です。参考文書のImplementing ATAG 2.0によれば、半自動の修正は「意味に関わる修正」に、自動の修正は「構文的、または繰り返しの修正」に向いています。この分け方は、修正に限らず仕事全体に当てはまります。
| 作業 | ツールにできること | 作成者にしかできないこと |
|---|---|---|
| 代替テキスト | 写真を加えたときに尋ねる。「image」やファイル名のような一般的な文字列、無関係な文字列を使わない(B.2.3.2 a)。画像認識の下書きを出し、採用、修正、却下を選ばせる(B.2.3.2 b) | 写真が何を見せるためにあるか、あるいは装飾であることを伝える |
| 見出しとリスト | 本物の見出しとリストのボタンを、太字と同じくらい目立たせる(B.2.2.1)。貼り付けや変換でも保つ(B.1.2) | どの行が見出しかを決める |
| ツールが自分で書くマークアップ | 尋ねずにアクセシブルにする。テンプレートのページの言語やフォームのラベルなど(B.1.1) | なし |
| 字幕 | 変換のあいだも字幕トラックを保つ(B.1.2.1)。音声認識の下書きを出し、直してもらう | 言葉を直し、話者を示す |
| チェック | 規則でわかるものを見つける。alt属性のない画像など(B.3.1.1)。人が判断するチェックには、判断のしかたを示す(B.3.1.2) | すでにある代替テキストが正しいかを判断する |
つまりツールの役目は、適切なときに尋ね、作成者が入れたものを保つことです。ATAGでいうプロンプトは、ダイアログでも下線でも、ツールの側から判断や情報を求めるものすべてを指します。ツールが自分で代替テキストを入れる場合、B.2.3.2は編集セッションで分けて考えます。セッション中なら、コンテンツに入れる前に、作成者が採用、修正、却下を選べなければなりません。セッションの後なら入れてかまいませんが、次のセッションでそれとわかるように示し、やはり採用、修正、却下を選べるようにします。Implementing ATAG 2.0は、画像処理を提案の情報源として認めつつ、「人による説明ほど確かではない」と書いています。
06
レベルと、ATAGがWCAG 2.0を参照する理由
- 達成基準は63: パートAに31、パートBに32あり、WCAGと同じレベルA、AA、AAAに分かれます。
- 「(WCAG)」付きの13の基準: A.1.1.1やB.3.1.1などで、レベルはコンテンツが満たすWCAGのレベルに従います(WCAG 2.0のレベルAの達成基準を満たせばレベルA、AとAAを満たせばレベルAA)。
- 適合: レベルAは適用されるレベルAの基準をすべて、AAはそれに加えてAAの基準を、AAAはすべてを満たすことです。ほかのツールと組み合わせて初めて完全なオーサリングシステムになるツールは「プロセスの構成要素」として、プラットフォームの制約で満たせないツールは「プラットフォームの制約」として、部分適合を表明できます。
- 適合表明は任意: 表明するなら、日付、ATAGの版、レベル、ツール名と版、プラットフォーム、作り出すWebコンテンツ技術、基準ごとの「はい」「いいえ」「該当なし」を記載します。
- WCAG 2.0を参照する理由: ATAG 2.0の公開時点で、現行のW3C勧告がWCAG 2.0だったためです。ATAGでいう「アクセシブルなコンテンツ」は、WCAG 2.0に適合するはずのコンテンツを指します。ATAGは2015年9月24日の勧告から改訂されていないため、参照先はWCAG 2.0のままです。また、ツールはさまざまな環境で使われるため、WCAGの「アクセシビリティ・サポーテッド」の要件を含めず、「適合」ではなく「WCAG 2.0の達成基準を満たす」という言い方をしています。
コンテンツ自体がどの版のWCAGを満たすべきかは、サイトに適用される法律や契約が決めます。EN 301 549 V3.2.1の11.8.2は自身の9章、つまりWCAG 2.1を指し、V4.1.1ではオーサリングツールが5.10に移り、9章から11章がWCAG 2.2に合わせられました。Section 508の504.2は、WCAG 2.0のレベルAAを指しています。
07
実例
出品画面を、3つの文書に照らして確かめます。
| ツールの動き | 関わる要件 | 結果 |
|---|---|---|
| 写真をファイル名「IMG_2041.jpg」を代替テキストにして公開し、一度も尋ねない | ATAG B.2.3.2 (a)、B.1.1.2。EN 301 549 11.8.2。Section 508 504.3 | 不合格:「代替テキストを尋ねない画像のアップロード」 |
| アドオンがアップロード時にAIの説明文を代替テキストに書き込み、公開まで誰も見ない | ATAG B.2.3.2 (b) | 不合格:「写真の要点を外したり読み違えたりするAI生成の代替テキスト」 |
| 説明欄が名前のないcontenteditableのdiv | ATAG A.1.1.1(WCAG 2.0の1.3.1と4.1.2)。ツール自身のページとしてEN 301 549の9.1.3.1、9.4.1.2、9.2.5.3 | 不合格:「見えているラベルで読み上げられないリッチテキストエディター」 |
| 「AIで改善」が説明文をそのまま上書き保存し、確認も取り消しもできない | ATAG A.4.1.1 | 不合格:「確認も取り消しもできずに文章を書き換えるAIリライトボタン」 |
| 見出しとリストのボタンが、太字の隣に同じ大きさで並ぶ | ATAG B.2.2.1 | 合格 |
| 公開前のチェックが代替テキストのない写真を見つけ、その説明欄を開く | ATAG B.3.1.1とB.3.2.1。EN 301 549 11.8.4 | 合格 |
結果として、買い手のページはWCAGに合格していても、ツールには4つの不合格があります。2つはパートBで、写真が何を見せるかを、一度はファイル名で、一度はAIの推測でツールが決めていました。B.2.3.2は、その判断を出品者に任せています。残る2つはパートAで、スクリーンリーダーを使う出品者はどの欄に書いているのかわからず、誰でもボタン一つで自分の文章を失います。直し方はそれぞれのガイドにあります。まとめると、アップロード時に出品者に尋ね、AIの文は採用、修正、却下を選べる下書きとして示し、説明欄に名前を付け、出品者が選ぶまで元の文章を残すことです。
08
よくある間違い
- 公開されたページだけを試験する。 パートAはツール自身の画面です。マウスでしか使えない写真欄は、公開後のページがどうであれ作成者を締め出します。「ファイルを選ぶボタンがないドラッグ&ドロップのアップロード欄」を参照してください。
- チェックを通すために、代替テキストをファイル名や「image」で埋める。 B.2.3.2 (a)は一般的な文字列や無関係な文字列を認めず、公開されたページでも1.1.1を満たしません。直し方は「代替テキストを尋ねない画像のアップロード」にあります。
- 機械が作った説明を、読まずに公開する。 B.2.3.2が画像処理による提案を認めるのは、作成者が先に採用、修正、却下を選べるか、セッションの後なら次回にそれとわかる場合だけです。「写真の要点を外したり読み違えたりするAI生成の代替テキスト」を参照してください。
- 代替テキストを、逃げ道なしに必須にする。 Section 508の504.2は、アクセシビリティに必要な情報を作成者が上書きできることを求め、B.2.3.1も装飾とわかっているコンテンツを例外にしています。出品者が写真を装飾として指定できる必要があります。
- チェック機能を無効にした状態で出荷する。 ATAGのB.4.1.1(レベルA)は、アクセシブルなコンテンツを支える機能を初期状態で有効にすることを求めます。Section 508は求めていません。米国アクセス委員会は、それを「規定しすぎ」と判断しました。
- WCAG 2.2のコンテンツについてATAGへの適合を表明する。 ATAGの「(WCAG)」付きの基準はWCAG 2.0です。コンテンツがどの版のWCAGを満たすかは、サイト自体の試験にもとづいて別に示します。
- 修正の提案がないチェック機能を加える。 チェックで不適合が見つかったら、B.3.2.1とEN 301 549の11.8.4は修正の提案を求めます。作成者が自分で行う手順の説明でかまいません。ATAGの注記も、最低限は手動の修正としています。
09
規格の定め
- ATAG 2.0 B.2.3.2 代替テキストの修正の自動化(要件、レベルA): ツールが代替テキストを修正しようとしないか、次をすべて満たす。一般的な文字列(「image」など)や無関係な文字列(ファイル名、ファイル形式など)を代替テキストに使わない。セッション中の修正では、コンテンツに入れる前に、作成者が採用、修正、却下できる。
- ATAG 2.0 A.4.1.1 コンテンツの変更を取り消せる(最低限)(要件、レベルA): 「All authoring actions are either reversible or the authoring tool requires author confirmation to proceed.」(編集の操作はすべて取り消せるか、ツールが実行前に作成者の確認を求める)
- ATAG 2.0 B.3.2.1 修正の支援(要件、レベルはWCAGのレベルに従う): B.3.1.1のチェックでWCAG 2.0の達成基準を満たさないとわかったら、修正を提案する。注記によれば、最低限は手動の修正です。
- Implementing ATAG 2.0(助言): B.2.3.2の意図は、作成者が承認していない、または不適切な情報源から作られた、利用者の役に立たない代替テキストを防ぐことです。
- EN 301 549 V3.2.1 11.8(要件): 11.8.1で、11.8.2〜11.8.5は出力形式がアクセシビリティに必要な情報を扱える範囲で適用されます。11.8.2は、9章(Web)または10章(Web以外)に適合するコンテンツの作成を「enable and guide」(可能にし、導く)こと、11.8.3は再構成や再符号化の変換でアクセシビリティの情報を保つこと、11.8.4はチェックで不適合が見つかったら修正を提案すること、11.8.5はテンプレートがあるなら、アクセシブルなものを少なくとも一つ用意し、そうと示すことです。参考の11.8.0は、この要件を超えたい人にATAG 2.0を案内しています。V4.1.1では同じ5つが5.10.1〜5.10.5になり、それぞれ「Where ICT is, or includes, authoring tool functionality」(ICTがオーサリングツールの機能である、または含む場合)で始まります。5.10.4の注記2は、自動と半自動の修正を「作成者の確認とともに」行うよう勧めています。
- Section 508 504(要件): 504.1で、504は出力形式がアクセシビリティに必要な情報を扱える範囲で適用されます。504.2はWCAG 2.0のレベルAとAAに適合するコンテンツを作る動作モードと、作成者による上書き、504.2.1は形式の変換での情報の保持、504.2.2はPDF 1.7を書き出せるツールにPDF/UA-1の書き出し、504.3は作成者に入力を促すモード、504.4は用途に応じたテンプレートを求めます。
違いをまとめると、ツール自身の画面について詳しいパートAがあるのはATAGだけで、EN 301 549とSection 508は、Webとソフトウェアの要件でツールの画面を扱います。米国アクセス委員会は、504を作るときにATAG 2.0を参考にしたものの、Webコンテンツに狭く絞られていて規定が細かすぎること、連邦政府ではほとんど使われていないことから、参照はしなかったと述べています。EN 301 549はツールに「可能にし、導く」ことを求め、Section 508は入力を促す「動作モード」を求めます。
JIS X 8341-3:2016はWebコンテンツの規格で、オーサリングツールについての要件はありません。日本でCMSを選ぶときにATAGやEN 301 549の11.8を条件にするなら、仕様書や契約に書くことになります。
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制限
ATAG 2.0への適合は、契約や方針で指定されない限り任意です。この記事では、どの法律がどのツールに適用されるかは判断しません。依頼主と弁護士が判断することです。コメント欄やチャットのような境界にある機能がオーサリングツールにあたるかは、試験者が定義に照らして判断し、理由とともに記録します。ATAGが対象にするのは開発者が出荷したままのツールで、あとから加えたプラグインや変えた設定は含まないため、CMSの適合表明は、サイトが入れたアドオンまでは及びません。発表をその場で公開するようなライブの編集は、Implementing ATAG 2.0の付録Eで扱われていて、ここでは扱いません。EN 301 549のそのほかの部分は「EN 301 549では、WCAGのほかにWebサイトに何が求められるか」で扱っています。ツールはそれを使う作成者と、コンテンツはそれを読む人と一緒に試してください。
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用語
- オーサリングツール
- 作成者が一人で、または共同で、ほかの人が使うWebコンテンツを作ったり変更したりするためのソフトウェア。Webベースかどうかは問わない(ATAG 2.0の用語集)。
- プロンプト
- ツールの側から作成者に、判断や情報を求めること。ダイアログから下線まで含む(ATAG 2.0の用語集)。AIへの指示のことではない。
- 半自動の修正
- ツールが修正の一部を行い、仕上げるには作成者の入力や判断が要る修正(ATAG 2.0の用語集)。
- 編集セッション
- 作成者がコンテンツを編集できる状態。閉じる、公開する、ほかの人に編集を渡すなどで終わる(ATAG 2.0の用語集)。
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出典とガイド
- 規定 ATAG 2.0(W3C勧告、2015年9月24日): パートA、パートB、適合(新しいタブで開きます)
- 参考 Implementing ATAG 2.0(W3Cワーキンググループノート): A.4.1.1とB.2.3.2の意図、付録C「修正の自動化のレベル」(新しいタブで開きます)
- 参考 ATAG at a Glance: パートAとパートBの概要(新しいタブで開きます)
- 規定 EN 301 549 V3.2.1 (2021-03): 11.8 オーサリングツール、C.11.8の試験(新しいタブで開きます)
- 規定 EN 301 549 V4.1.1 (2026-09): 5.10 オーサリングツール(新しいタブで開きます)
- 規定 改正Section 508基準: 504 オーサリングツール(新しいタブで開きます)
関連するガイド
- 代替テキストを尋ねない画像のアップロード マーケットプレイスの出品フォームが、写真に何が写っているかを出品者に一度も尋ねないままアップロードし、ファイル名を代替テキストにして公開してしまう
- 見えているラベルで読み上げられないリッチテキストエディター 入力部分はcontenteditableのdivで、label要素では名前を付けられないため、名前がないか、エディターのライブラリーがどのエディターにも付ける決まった名前で読み上げられる
- 写真の要点を外したり読み違えたりするAI生成の代替テキスト ショップのメディアライブラリーがアップロードのたびにAIの説明を代替テキストへ書き込み、誰も読まないまま公開されるため、4色で売っている手帳が3色だと読み上げられてしまう
- 確認も取り消しもできずに文章を書き換えるAIリライトボタン プロフィールの「AIで改善」ボタンが保存済みの自己紹介をその場でAIの文章に書き換えて保存してしまうため、本人が約束していないことが公開され、元の文章も取り戻せない
この記事は実務の進め方を、再現した例で説明するものです。法的な助言ではなく、特定の顧客についての指摘でもありません。